

今回は、水回りのリフォームのなかでも、「間取り変更」にフォーカスを当てて、さらに「小さな子どもがいる家庭」と「年配の方の家庭」に分けてお話を進めていきます。失敗しない間取り変更をするためには、何に気を付けるべきなのか……。じっくり考えてみましょう。
Contents
【効率的に家事を進める!】 小さな子どもがいる家庭の場合
洗面室・浴室は、玄関の近くに
毎日、元気に走り回って帰ってきた子ども。気になるのはその手足の汚れですよね。そんな時、玄関の近くに洗面室や浴室があると、汚れた手足をすぐに洗うことができます。この点は子どもに限ったことではありません。大人の場合でも、外出から帰宅した際、すぐに手洗いとうがいができます。
もし家の広さに余裕があるなら、洗面室とは別に、玄関脇に小さな手洗いスペースを設けても◎。玄関脇なら、お客様にも気軽に使っていただけますね。細菌やウィルスを家に持ち込まないための方法の一つとしても、玄関の近くに手洗いがあることはメリットがあります。
洗面室・浴室・キッチンは、回遊できると家事がラク
キッチンと洗面室・浴室が一本の動線で繋がっていれば、キッチンで用事をしながら、お風呂に入るお子さんの様子も確認できて安心です。さらに、近年は共働きのご家庭が増え、小さなお子さんがいるご家庭では朝や夕方のバタバタは日常茶飯事ですよね。忙しい時も、キッチンと洗面室が近ければ、お子さんの朝の支度をしながら、洗濯をすすめ、効率的に家事を進められます。
【安心でスムーズな動線を実現】 年配の方が暮らす家
洗面室やトイレは空間にゆとりをもつ
介護が必要になったときのことを考えて、洗面室はスペースに余裕をもった間取りにすることをおすすめします。間取りは最低限、大人2人が入れるくらいの広さにしておくと安心。将来、介護が必要になったとき、車いすが必要になったときに介護者が一緒に入室する可能性を考慮しましょう。
年齢を重ねていくと、身体は思うように動かなくなっていきます。介護がまだ必要ではない方が使う場合でも、服の着脱のために腰かける椅子を設置できるくらいのスペースがあると、ライフスタイルを変えずに快適な暮らしができますね。
寝室と、洗面室・浴室、トイレは近いと安心
高齢者が住む住宅は、洗面室・浴室・トイレを、寝室に近いところに設置することが望ましいとされています。廊下に手すりなどを設置し、一人でも移動できるようにすれば、介助する家族や介護者の負担も減りますね。
なるべく曲がり角を少なくしたり、出入口を引き戸にしたりと体重移動を伴う動作が少ないシンプルな動線にすれば、移動のときも安全でスムーズ。生活動線はスッキリさせておいた方が、転倒のリスクが減らせて安心です。
さらに、寝室・洗面室・トイレ・浴室、それぞれの広さに余裕を持たせると、室内での動きを妨げないのでストレスになりません。ご年配の方が使う場合は、「場所」「動線」「広さ」が間取り変更のポイントになってきます。
間取り変更を伴うリフォームにかかる費用は?
一言で間取り変更といっても、既存の間仕切りを解体して新たな間仕切りを造作して、とさまざまな工事を伴います。また、工事以外に廃棄物の処分にも費用が掛かるのがリフォーム工事。
その主な内訳は次のとおりです。
- 既存の設備・間仕切りの解体撤去工事
- 廃棄物の処理
- 新たな設備・間仕切りの資材・設備費
- 基礎工事
- 配管・配線工事
- 設備の取り付け工事
- 間仕切りや下地の造作、及び内装仕上げ工事
この章では、「キッチン」「浴室」「洗面室」「トイレ」の4つの水回りで間取り変更リフォームするときのポイントを紹介します。
キッチン編
キッチンのリフォーム費用の相場は、50~150万円の価格帯が多いと言われます。費用に大きく影響するのはシステムキッチン本体の価格ともう一つが内装工事です。
間取りの変更を伴うとなると、内装工事にかかる費用が増え、さらに給排水管や排気ダクトを延長するための工事が追加されます。高額な費用が掛かるリフォームになりますが、昔ながらのダイニングキッチンの間取りを広いLDKタイプに変更するリフォームの需要は年々増えています。
希望を叶えつつ、できるだけ費用を抑えたいときには、キッチン本体のグレードを下げる方法がありますが、システムキッチンの移動を最小限にすることと、新たな間仕切りの造作を少なくすることもひとつの方法ですね。
浴室編
浴室の間取り変更は、移動先の床下基礎や防水処理などの内装工事が大掛かりになります。さらに、システムユニットバスは水栓金具やカウンターなどのオプションも、選択肢が豊富!
浴室のリフォーム費用を抑えるためには、浴室リフォームの実績が多い業者を選ぶことがおすすめ。実績の多い業者は、確かな技術を持っています。メーカーから大量の資材を仕入れているため、気になるオプションも、安く提供してもらえるかもしれません。
洗面室編
洗面台のリフォームで最も多い価格帯は、20~50万円。最低限の機能のユニット洗面化粧台なら、その他、壁紙や床材などの費用を含めても20万円程度でリフォーム可能。工期も、1日もあれば完了するでしょう。
しかし、湿気の多い洗面室は、内装やその下地が傷んでいる場合も多くあります。リフォーム後も建物の劣化を引き継がないようにきちんと対処することが大切です。
トイレ編
トイレの一般的なリフォーム費用相場は18~55万円ですが、間取り変更で費用を抑えるには床下配管がポイント。トイレの場所が既存の位置から離れれば離れるほど、給排水管の延長工事の規模が大きくなり、費用がかさみます。
タンクレストイレを選択する場合は、トイレ内に手洗いカウンターを設置する必要があるので、一般的なトイレの広さである0.4~0.5坪は確保しておきましょう。
マンションにおける水回りの間取り変更を行う際の注意点
マンションのリフォームを考えるときに注意しないといけないのが、一戸建てよりもリフォームの制約が多くなることです。水回りの間取り変更は、マンションの構造上、できること・できないことが大きく分かれます。
マンションの水回り設備を移動できるかどうかは、床下空間の広さと給排水管がポイント。例えば、一戸建ては床下が40~45㎝で設計されているのに比べ、マンションは、床下の空間が狭かったり、古い建物だと下の階の天井裏に排水管が通っていたり。
床下空間が狭いと、排水管の勾配をつけられず水が流れにくくなり、詰まりの原因になります。下の階の天井裏に排水管がある場合は排水管の移動ができないため、どちらも間取り変更のリフォームは難しくなります。リフォームを進める前に、管理規約や管理組合等に確認しておくことが大事です。
まとめ
水回りを上手に間取り変更すると、家事動線がスムーズになり、生活がぐっと便利になりそうですね。床もバリアフリーにリフォームしておけば、掃除もしやすく、老後も安心です。
さらに、水回りは一か所に集約すると、水漏れしにくいというメリットもあります。
現在の水回りの使い勝手を洗い出し、より使いやすい間取りを見つけてくださいね。